機関投資家の流入に必要となる4つのテーマ|仮想通貨取引所を率いる2名が持論を展開
- 取引所を率いるリーダーの見解
- news.bitcoin.comは、先週オランダで開催されたBlockchain Expoにて、海外の仮想通貨取引所を率いる2人のリーダーが持論を展開。機関投資家の流入と影響について「規制、セキュリティ、流動性」の観点から考察を行った。
- 機関投資家とは
- 莫大な資金力を持ち、個人投資家らの拠出した巨額の資金を有価証券(株式・債券)等で運用する法人のこと。 保険会社、投資信託、信託銀行、投資顧問会社、年金基金などがあり、”クジラ”と呼ばれることもある。
仮想通貨市場では、豊富な資金力を持つ機関投資家の資金流入の増加が見込まれており、コミュニティ内でも、価格上昇に繋がる大きなチャンスであるとして期待されてきました。
news.bitcoin.comは先週、オランダの首都アムステルダムで開催された「Blockchain Expo」にて、仮想通貨取引所を率いる2人のリーダーに対し、機関投資家が参入し得る今、後の展望を尋ねました。
機関投資家の資金が与える恩恵
仮想通貨価格は、7月2日に平均11.4%ほど上昇を見せました。
理由の一つとして、大手仮想通貨取引所のCoinbaseが、コールドストレージ、機関レベルの仲介、報告サービスを始めとする機関投資家に向けた仮想通貨管理サービスや、顧客保護サービスの提供を開始したことが挙げられます。
このニュースは、市場に一時的なアドレナリンをもたらしたと言えますが、長期的な影響はどのようなものになるのでしょうか。
Deposits are now rolling in for we're live! Crypto is quickly becoming an institutional asset class. If you run a fund, sign up for more info on storing crypto. Brian Armstrong (@brian_armstrong) 2018年7月3日
Coinbaseはついに、保管サービスの提供を始めた。
仮想通貨は、機関投資家が投資対象とする「アセットクラス(資産クラス)」へと急速に近づいている。
今回news.bitcoin.comが話を聞いたのは、以下の2名です。
Kimley Kadoche氏:
法定通貨での大口取引も可能にするなど、機関投資に焦点を当てている取引所「LGO」の企業向け広報(IR)の責任者
Nick Cowan氏:
Gibraltar Blockchain Exchange(GBX)のCEO
GBXは、機関投資レベルでのトークン販売、デジタル資産取引プラットフォームを目指し、既存のGBX顧客に対して情報提供を行なっています。
Kadoche氏もCowan氏も、仮想通貨市場における機関投資家の動向に詳しく、機関投資家の資金が流入してくることについては、強気な姿勢を見せています。
1:規制について
機関投資家が参入してくる前段階として、仮想通貨市場の”適切な規制の枠組み”が必要とされていることは、既知の事実であると言えるでしょう。
ヘッジファンドは、顧客の資産を運用しているため、一般投資家のように自由に安易に投資を行うことはできません。
(LGO)Kadoche氏
「アメリカにおいて、(機関投資家の)仮想通貨投資熱は高まってきている一方で、機関投資家は、現実的な問題を解決する具体的な解決案を待っている状態であると言える。
そして、仮想通貨取引の帳簿への記帳も行わなければならないため、特に注視されているのが、証券取引委員会(SEC)および、金融取引業規制機構(FINRA)の対応だろう。」
(GBX)Cowan氏
「将来的に、仮想通貨市場は社会に浸透していくことは疑う余地がないと言える。
そして、その浸透を一気に促進させるのが、消費者の信頼、投資家保護、透明性を高めるための規制の施行であると考えている。
現時点で、この問題が適切に解決されていないがために、仮想通貨市場に参入できていない機関は多く存在しているからだ。」
2:セキュリティについて
(LGO)Kadoche氏
2人は次に、機関投資家が管理サービスなども含む、実在する問題を解決する安全な枠組みを求めていることも明らかにしました。
「現時点で、同業界のインフラは完全に安全であるとは言い切れない。
保管、本人確認も完全ではなく、SECがデジタル資産に対して、どのような規制や行動を取るのかも不明確だ。」
(GBX)Cowan氏
デジタル資産そのものだけでなく、管理などにおいても機関投資家を向かい入れることができる状況ではないことを示唆した。
しかし今回、Coinbaseがファンドのコールドストレージなどの提供を開始し、セキュリティ管理分野に積極に取り組んでいることや、LGOが違った側面から、台帳と統合され、中央集権的な注文帳とともに非中央集権的ストレージへの対応を進めていることは、非常に良い傾向であると言える。
3:流動性について
機関投資家は大量の売買を行うため、流動性の確保は、最優先で解決されるべき問題であると言えます。
ビットコインやイーサリアムは、初期の頃に比べ、圧倒的にその流動性を高めてきていますが、未だ単一の大口取引が、市場全体に影響を与え得るなど、まだまだ流動性が不足しています。
(LGO)Kadoche氏
「金融機関は多額の売買を行うため、取引を行う相手が必要となっている。
彼らが求めるものを、欲求された量だけ提供する必要がある。
現時点で、取引の遅延やズレが生じてしまうため、Coinbaseで安易に1,000BTCを購入するようなことはできない。」
4:価格の急上昇について
Kadoche氏もCowan氏も、機関投資家資金の流入がビットコインの価格を高騰させるか否かにまでは、言及しなかったものの、仮想通貨市場にとってポジティブな傾向であることに変わりはないと主張しました。
(GBX)Cowan氏
「長期的に機関投資家の仮想通貨市場への投資は浸透し、さらに多くの人々を巻き込んでいき、市場にポジティブに作用するだろう。」
このことから、機関投資家の資金流入が、ビットコインの投資対象と金融の底上げとしての役割を後押することで、市場自体に透明性をもたらすことになるのは確実であると言えるでしょう。
Why Institutional Money Is Coming and What This Means for Bitcoin
July 3, 2018, Kai Sedgwick
参考記事はこちらから
引用元: CoinPost
「仮想通貨全般」カテゴリーの関連記事