暗号資産市場の価格-流通量に基づくHerfindahl-Hirschman指数等の諸分析(Mar 18, 2019版)
暖かな陽気に春の訪れと花粉の勢いを感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。暗合資産投資家の減少、もしくは確定申告に追われてか界隈の盛り上がりは引き続き軟調なものの、仮想通貨に関する改正法案(資金決済法、金商法、金販法等)が15日に提出されるなど法制面に進展が見られ、暗号資産の普及に必要な基盤は着実に整えられてきています。
前回記事から1.5ヶ月の間、相場は上向きで堅調に推移してきました(詳しくは図2にて)。先月に比べてHHIと時価総額分布がどのように変化しているのか、本稿からはインデックスも参照しながら見ていきます。(データは日本時間3/17取得)
3月中旬の暗号資産市況と寡占度(Herfindahl-Hirschman指数)
時価総額和とHerfindahl-Hirschman指数(HHI)を図1に示します。評価対象は時価総額$10k以上のトークンを含む暗号資産全体です。
図1:2016年12月以降の暗号資産市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)
先月上旬には1100億ドル程度だった時価総額和は1400億ドル程度にまで回復しました。これは2019年の最高値に近い水準です。この上がり方について興味深いのは赤破線で示した上昇トレンドを維持している点で、この上段赤破線は先月引いたものをそのまま外挿しています。2017年初頭に始まった暗号資産バブルを経て、2017年以前のトレンドに戻った証左かもしれませんね。
HHIについては昨夏以降最低水準である2800近くにまで下がってきました。先月の記事で、近いうちに時価総額和の増加とそれに伴う2900辺りまでのHHIの低下を予想していましたが、思いの外早い段階で実現しました。先月記事図2に示したFY2018秋冬群から大きく外れないところにあり、引き続きHHIと時価総額和の関係(「HHIが上がれば時価総額和は減り、反対にHHIが下がれば時価総額和は増える」)は維持されているようです。
時価総額和の増加とHHIの低下がどのランク帯に位置する通貨群によってもたらされたのかを米Fundstrat社が提供している暗号資産指数を基にみてみましょう(図2)。
図2は2/8を基準として変化率を示しており、Fundstrat社の表現を借りれば、FSTOK10は”Top 10 largest Crypto-currencies”(暗号資産市場の9割近くをカバー)、FSTOK40は”Top 11-50 based on market value”、FSTOK250は”Top 51-300 based on market cap”、FSTOK300は”FS Crypto 10, 40 and 250″を対象とした指数となっています。
BTCUSDは9%の増加に留まっているものの、主要アルトを含むFSTOK10は18%上昇しています。FSTOK40と250は30%後半という非常に高い上昇率を示していますが、時価総額の違いからFSTOK300になるとFSTOK10に近い20%の上昇に留まっています。この事から、広く低位アルトが力強い上昇を示した結果HHIは低下し、もちろん主要アルトも相当に上昇したことから時価総額和も目に見えて上がったと言えるでしょう。しかし、この指数を見ればマイナーアルト投資に妙味を感じる投資家が多いのも改めてうなずけますね。
最後に図3で時価総額分布を確認しましょう。図1、2で見てきたように、分布は全体的に持ち上がっており、特にランク2桁後半から数百位ほどの通貨が他よりも上がりが大きくなっていますね。図2でみた指数の示す通りの動きです。昨夏以降最低水準近くまでHHIが下げたのは、このように上位よりも低位アルトの時価総額が先行して膨れた結果と言えるでしょう。
図1の上段に赤破線で示したトレンドが、バブルによらない潜在的な暗号資産需要によるトレンドだとすれば、蓋然性の低い淡い期待ですが、すでに底打ちしたのかもしれません。来月もこの赤破線をそのまま外挿する形で時価総額が推移するかどうか楽しみですね。果たして相場に春は訪れるのでしょうか。
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引用元: ビットコインニュース
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