シカゴ大学資産運用代表、大口が利用する仮想通貨OTC取引を解説|そのメリットや課題、マーケットへの影響とは
- 暗号資産運用会社BlockTowerの共同設立者OTC取引を解説
- シカゴ大学でポートフォリオマネージャーも務めた暗号資産運用会社BlockTowerの共同設立者Paul氏がOTC取引を解説。そのメリットや課題、マーケットへの影響、匿名性についての見解を示した。
OTC取引とは
OTC取引とは、店頭取引を意味する「Over The Corner」の略語であり、売買取引を行う当事者同士の直接取引を指す。
仮想通貨取引所は仲介に入る場合、と入らない場合があるが、一般の取引所の板取引とは異なるため、大口投資家などが多く利用する取引方法となる。
現在仮想通貨OTCデスクを提供する企業としてはCumberlandやGenesis、Circleなどが、大口投資家向けに展開しているほか、多くの取引所でも取引が行われている。
また、スカイプ等のSNSを経由してのOTC取引も行われているといい今後さらに普及が見込まれる取引手段である。
Ari Paul氏がOTC取引を解説
暗号資産運用会社BlockTowerの共同設立者であり、過去にはシカゴ大学でポートフォリオマネージャーを務めた経験をもつAri Aaul氏が、ツイッターでOTC取引について解説。以下は同氏の見解をまとめたものである。
同氏はOTC取引は交換における代替的な手段の1つであるとする。また、仮想通貨取引の25~50%はOTC取引であるという。
OTC取引のメリットがあるのは大口取引における場合であるとし、以下がその利点である。同氏は、3000万ドル相当のビットコインの売却を仮定し、それらについて説明した。
1.取引所よりも良い価格での取引が可能
2.取引履行までの利便性
3.取引所のセキュリティリスクやカウンターパーティリスクの回避
まず、1の「取引所よりも良い価格での取引が可能」についてであるが、3000万ドル相当のビットコインの売却といった多額の取引においてはOTC取引の方が、当事者双方にとって取引所よりも良い価格での取引が可能であるとする。
の理由は、取引所での取引ではその規模になると価格変動を起こしてしまい、結果的にその影響を自身が受けてしまうからである。
その点OTC取引では、そのような価格変動なしに安定した価格での取引が可能となる。
なお、少額の取引については、その取引によって価格変動を起こすといったことはないため取引所の方が適切であるとしている。
2の「取引履行までの利便性」については、OTC取引を利用すれば3000万ドル相当といった多額の取引でも1か所のプラットフォームで履行が可能であるといった点である。
もし、その規模の取引を取引所で行うとすると、1か所の取引所で処理しきれなかった場合は複数の取引所を経由することとなる。同氏は、そのような場合3つ以上の取引所を経由する必要があるとしている。
OTC取引の場合はそのような手間を省いての取引が可能となる。
3の「取引所のセキュリティリスクやカウンターパーティリスクの回避」は、1か所のみでの取引履行からなるセキュリティリスク、そして取引所に資産を預ける必要性のないことによるカウンターパーティリスクの回避である。
OTC取引の場合は取引当事者同士の直接取引となるため、取引所への資産のデポジットは必要ない。
その点取引所で取引をする場合、資産を預ける必要性、また上で述べたように複数の取引所を経由する必要性からそれらのリスクが生じる。
OTC取引の場合はそれらリスクの回避が可能となり、特に多額の取引においては非常に重要な要素となる。
OTC取引のデメリットとは
上ではOTC取引のメリットを述べてきたが、同氏によるとそこには課題点もあるとする。
それは、売りが多いときと買いが多いときと波があり、売り手と買い手のバランスがとられていないことも少なからずある点だ。
例えば、もし売り手が多く買い手とのマッチングが上手く機能しない場合、結局OTC取引を希望していた売り手は1、2日以内に取引所での売却に流れるという。
その理由は、マッチングが成立するまでの時間に起こる価格変動のリスクである。
OTC取引においてもそのようなイグジットの際のリスクがある。
OTC取引のマーケットへの影響
同氏によると、OTC取引は買い手と売り手のバランスが保たれている状態は取引が相殺されていくためマーケットへの影響はないとしている。
OTC取引における取引量はマーケットに反映されないため不可視なものとなる。
しかし、上で述べたように売り手と買い手のバランスがとれていない場合は、取引所に取引が流れるため結果的にはマーケットに間接的な影響を与えているとする。
OTC取引の匿名性は
同氏によるとOTC取引の匿名性は、取引所での取引のものとほとんど変わらないとする。
その理由は、OTC取引を提供するプラットフォームの多くは、マネーロンダリング対策等で顧客の身元確認を取引所と同様に実施しているからである。
なお、身元確認の有無にはまた取引所と同様に例外もあるとする。
同氏は、OTC取引は匿名性を高めるようなプライベートな取引を目的としたものではないと説明している。
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— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2018年10月12日
引用元: CoinPost
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