投資家がBitmainのIPO前に織り込むべきべきファクター
ビットコインのマイニング用ASICの開発・販売を行うBitmainが近々IPOを行う予定だ。昨年の仮想通貨市場の盛り上がりもあり、世界的に知名度が広がったBitmainのIPOには多くの投資家が注目している。メディアでは、2012年にFacebookが上場した際に記録した160億ドルを上回るとの予想もでてきているが、下記のリーク資料から、投資家がIPO前に織り込むべきファクターが新たに現れた。
リーク資料の左から、仮想通貨の数量、平均評価額、合計評価額となっている。
ファクターとなるのは、Bitmainがビットコインキャッシュ(BCC)のポジションを大きく増やしている点だ。Bitmainは、BTCの数を2016年から徐々に減少させており、2016年12月の7.1万BTCから2017年12月の3.6万BTC、さらに2018年3月31日には2.2万BTCにまで保有数を減少させている。
BCCはBTCとは逆に保有数が増加傾向にあり、2017年12月の84.1万BCCから2018年3月には102.1万BCCまで保有数が増えていることがわかる。これは現時点でのBCCの総供給量1729万BCCの約6%に相当する。
平均評価額と数量をかけた2018年3月時点の合計評価額でも、BCCは8.8億ドルとBTCの1.4億ドルを大きく上回っている。
2018年第2四半期の情報は明らかになっていないものの、これまでの傾向からBitmainはさらにBCCを増やしBTCを減らしているものと推測される。事業費支出を捻出するため一部BTCを売却し、BCCは極力売却せず保有し続けているようだ。
BitmainがBTCではなくBCCを推している企業であるという点は、投資家にとって考慮すべき重要なファクターだ。現時点においてBTCは最もボラティリティが低いため、仮想通貨市場の中では最も安全であるといえるが、BitmainはBCCに重点を置いている。
BCCの価格を対BTCでみた場合、昨年11月に0.27BTCを記録したものの現在は0.081BTCにまで下落している。
バランスシート上のBCCの評価額は869ドルであるが、現在の価格は515ドルであるためBimainは含み損を抱えていることになる。さらにBCCはBTCと比べ流動性が低いため、価格に影響を与えない形で大量のBCCを売却することは困難だ。Coinmarketcapによると、BTCの日次取引量が約48億ドルであるのに対し、BCCは約4億ドルだ。
昨年の投機熱があった頃の仮想通貨市場であれば、価格に影響を与えることなく大量のBCCを売りさばけたかもしれない。しかし現在は昨年のピーク時と比べ取引量が4分の1にまで減少している。
上記はCoinmarketcapを参照した8月15日付けのBCCの総取引量を表している。世界全体の取引量は約4億ドルだが、1位のBitForexは、特殊なプログラムを使いフェイクの取引量を演出している可能性が高い取引所だ。仮にこの54%の取引量がフェイクだとすると、日次取引量は2億ドルにまで減少する。
さらにBCCはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を使った仮想通貨であるため、今後BitmainのBCCに対する事業投資はさらに肥大化する可能性もある。PoWの仮想通貨はセキュリティの高さが価値を高める一つの要因で、ハッシュレートの高さがセキュリティの高さとなる。つまりBitmainはBCCの価値を高めるには、ハッシュレートをネットワークへ注ぎ続けなければならない。
ハッシュレートを高く保つために、BitmainはBCCをマイニングし続けるため保有数は増加する。市場で売却しない限りBCCのポジションは拡大を続け、マイニングに係る事業投資額も増加していくことになる。投資家は、Bitmainが今後もBCCを売却するのか保有し続けるのかを把握する必要があるだろう。
Bitmainは、先月China International Capital Corporationから1億ドルの資金提供を受けたことで、時価総額が150億ドルに上昇したと推定されており、米大手仮想通貨取引所Coinbaseの時価総額80億ドルの約2倍となった。
Bitmainは2016年と2017年の利益の合計が23億ドルであったことを報告している。2018年第1四半期は11億ドルの利益をすでに記録しており、2018年度の利益は20億ドルを見込んでいる。
BitmainのIPOへ投資を考えている投資家は、マイニング事業の収益性や将来性とともに、同社のBCCに対するポジションというファクターも評価に織り込まなければならないだろう。
引用元: ビットコインニュース
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