仮想通貨のSharpe Ratioは株式より高い、イェール大経済学教授が算出
米イェール大学経済学部のAleh Tsyvinski教授とYukun Liu博士候補は共同で、仮想通貨に関するリサーチペーパーを公表した。Tsyvinski教授らは主に、仮想通貨市場の時価総額上位のビットコイン、イーサリアム、リップルに関してリサーチを行った。
今回のリサーチ・ペーパーの作成にあたりTsyvinski教授は、コンピュータ・サイエンスを熟知した研究者達によって書かれたリサーチは多く存在するものの、経済や金融の観点からのリサーチが不足していると感じていたことを明かしている。
「私達が行った仮想通貨に関するリサーチはとてもシンプルだ。テキストブックに載っている金融市場でよく使われる公式を活用した。仮想通貨が証券、通貨、貴金属などの他の資産と比べてどのような値動きをするのかを分析し、さらにどのような分野の業界に影響が及ぶのかについても調査した」
仮想通貨はリスクが大きい分利益も大きいと言われているが、そのリスクは利益に見合ったものなのだろうか。たとえば、昨年の1月に1ビットコインを10万円で購入し、12月の最高値230万円で売却していれば、利益率は23倍だった。
しかし12月にビットコインを購入し現在の価格70万円で売却した場合、資産は約3分の1に減少することになる。ビットコインの投資に成功した場合の利益は大きいが、価格の変動率を表すボラティリティが非常に高いためリスクも高いと言える。
その高いリスクに見合うだけの利益を得られるのかを測ることができる公式がSharpe Ratio(シャープ・レシオ)だ。この公式では高い数値ほど投資効率が良いとされており、今回のリサーチペーパーでは、仮想通貨のSharpe Ratioが株式や債券より高いと報告されている。Sharpe Ratioの数値だけを見れば、仮想通貨への投資は世間が感じるほど危険な投資先ではないということだ。
また、リサーチペーパーでは、ビットコインの過去のチャートから価格がゼロになる確率を算出しており、0.3%となっている。他の法定通貨では、ユーロは0.009%、オーストラリア・ドルが0.003%、カナダ・ドルが0.005%の確率で価格がゼロになると報告されている。
今回のリサーチでは、ビットコインの価値は通貨として機能するのに必要な勘定単位があることや、貴金属にみられる価値の貯槽手段としての性質などと関係性があると推測されている。
ビットコインはインターネットを通じ世界中でやり取りすることができるため、国ごとの通貨単位に変換する必要がない世界共通の勘定単位を持っている。価値の貯蔵手段としての機能はすでに過去のチャートが証明しており、世界の基軸通貨ドル建てでみた場合、2009年の誕生以来価格は上昇し続けている。
Tsyvinski教授らは、リサーチペーパーは投資指南を目的としていないと前置きしながら、過去のチャートをもとに歴史が繰り返すと仮定するならば、ビットコインへの投資はポートフォリオの6%が適切であるとしている。
引用元: ビットコインニュース
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