【THE 事例集】製造業×ブロックチェーン- 航空業界編
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はじめに
BaaS info!! ではさまざまな業界における活用事例を紹介してきました。ブロックチェーン活用事例のまとめページに様々な紹介事例を掲載しているので、ぜひご覧ください。
今回は製造業の事例の一つとして航空業界をとりあげます。(製造業ではありませんが、 航空会社の事例も含めております)自動車業界とならんでブロックチェーンの活用が急速にすすんでいる分野です。
またブロックチェーンの製造業活用事例については、下記のカオスマップにまとまっていますので、こちらも参考にしてください。
▼詳細はこちら
ブロックチェーン業界マップ大公開 ~製造業編~
<参考>自動車・航空業界のブロックチェーン市場、2029年までに2兆円超規模に 年間成長率60.35%
航空機×ブロックチェーン
事例:無人航空機システムの安全性向上
2018年11月、世界最大級の航空宇宙企業Boeing(ボーイング)とAIを手がけるSparkCognitionが、SkyGridを立ち上げる計画を発表しました。
SkyGridは、ブロックチェーンやAI、データ分析やサイバーセキュリティ機能を活用することで、無人航空機システムの安全なトラフィック管理を可能にするプラットフォームを提供します。これにより、無人航空機システムによる宅配便・産業用調査・緊急支援などの幅広い活用が安全に行われます。
安全なトラフィック管理を可能にする技術として「AIにもとづく、リアルタイムでのルート決定」及び「ブロックチェーンにもとづく、改ざんされにくいデータの蓄積」を利用しています。
<参考>Boeing and SparkCognition to Launch Joint Venture SkyGrid
事例:管理ノードの運営
ボーイングのその他の事例では、2019年8月、Hedera Hashgraphというプロジェクトの管理ノードを運営することになりました。
Hedera Hashgraphとは、高速・公平・安全という特徴をもつコンセンサスプロトコルであるHashgraphの公開実装です。ボーイング社以外にも、野村ホールディングスやIBM、TaTa通信などの世界的大手企業がHederaの管理ノードに参加しています。
▼ Hedera Hashgraph の詳細はこちら
新たな分散型台帳技術「Hashgraph」とは?その公開実装「Hedera Hashgraph」も解説
ノードを運営する企業は、プライベートネットワークをパブリックネットワークに接続し、送金システムを利用ことができます。また、分散型台帳技術により、マイクロペイメントや分散型ファイルストレージが促進されるとしています。
<参考>World’s Largest Aircraft Manufacturer Joins Hedera Hashgraph Council
事例:非営利組織向けのプロジェクト
ボーイングの競合であるAirbus(エアバス)の動きを見てみましょう。2018年9月、エアバスの開発部門A-Cubedが非営利組織向けのブロックチェーン技術を発表しました。暗号通貨やスマートコントラクトを利用しようとする慈善団体や非営利団体の支援を目的とした、オープンソースの公開ブロックチェーンプロジェクトで「Heritage」と名付けられました。
しかしこのプロジェクトは現在終了したようです。ここで蓄積された知識や経験は今後、組織内で活かされていくことでしょう。 Airbusは、「ブロックチェーンは部品の追跡を改善し、サプライヤーの調達ソフトウェアの完全な代替とはなりえなくとも補完にはなるだろう」とトレーサビリティにも着目しており、こちらでも進歩があるかもしれません。
<参考>Exploring the power of the Ethereum blockchain for the aerospace industry
事例:スマートコントラクトでの燃料補給
2018年8月、S7 AirlinesとGazpromneft-Aeroは、航空機の燃料補給のためにロシアで初めてブロックチェーンベースのスマートコントラクトを使用することになりました。
これにより航空会社は、 前払いや銀行保証が不要のため、よりスピーディーに決済し、取引にかかる財務リスクを最小化することができます。
燃料補給の際、パイロットが必要な燃料をオペレーターに要求すると、その金額が銀行にオンライン送信されます。即時確認され、燃料補給が開始されます。補給が完了すると決済され、会計書類が交わされます。このプロセスはなんと60秒で済みます。
すべての作業はスマートコントラクトに基づいて厳格に実行されるため、会計の透明性が高まっています。
事例:航空機部品のトレーサビリティ
Linux Foundationは、Honeywell(ハネウェル)がHyperledgerのメンバーに加わったと報じました。ハネウェルは航空機に関して、部品だけでなく高度なテクノロジーも提供しています。ハネウェルは航空機のスペアパーツにブロックチェーンを使用すると発表しました。
ハネウェルは、航空機部品を扱うGoDirect Tradeというeコマースプラットフォームを立ち上げました。ここではブロックチェーンを用いることで、すべての商品リストが間違いのない品質文書と画像を伴うよう保証し、購入者に信頼を与えることを可能にしています。
部品とその証明書の履歴を蓄積できるというブロックチェーンの能力は、航空分野においても魅力的です。
<参考>Honeywell’s New Trading Business Uses Blockchain Technology to Modernize Sales of Aviation Parts
事例:トレーサビリティ、レベニューシェア
GE Aviation(GEアビエーション)は、GE傘下の航空機エンジンを作る会社で、グローバルで60%ものシェアを持つ世界最大のエンジンメーカーです。GEは、トレーサビリティおよびパートナーとのレベニューシェアの領域にブロックチェーンを適用しました。
この事例はすでにBaaS info!!で取り上げているので、ぜひ下記のリンクをご参照ください。
▼詳細はこちら
【事例】製造業×ブロックチェーン ~GE Aviationの取組み~
航空サービス×ブロックチェーン
事例:仲介手数料の削減
2018年10月、世界トップ5に入るとされる大手航空会社Air France-KLMは、ブロックチェーンファームであるWinding Treeと提携しました。旅行ビジネスの仲介を削減することで、顧客にもサプライヤーにもより利益のある旅行を提案することを目的としています。
オンライン旅行代理店市場や航空便チケット市場は少数の大手企業が独占していると、Winding Treeは指摘します。そのような環境では新興企業が参入できず、航空会社やホテルには高額な手数料が課されていたでしょう。
同社は、航空会社・ホテルと旅行代理店を直接橋渡しするために、それらの企業間で行われる取引に使用されるイーサリアムベースの独自トークン「Winding Tree(LIF)」を発行しています。Winding Treeが提供しているサービスでは、スマートコントラクトが利用されており、ホテルの空室情報や航空機のチケット情報などが管理できるようになっています。
事例:航空者マイルのデジタル化
2018年2月、シンガポール航空はKPMGおよびMicrosoftと提携し、航空会社のマイレージプログラムで世界初となるブロックチェーンベースのデジタルウォレットアプリを導入すると発表しました。その名も「KrisPay」です。
KrisPayにより、同社の会員はマイルを即座にKrisPayトークンに交換することが可能で、参加店舗にてトークンの利用を行うことができます。また、スマホアプリの実装でウォレットを利用できるので、会員のマイル利用のユーザビリティが向上しています。
そして2018年7月、シンガポール航空はデジタルウォレットアプリ「KrisPay」を正式にリリースしました。KrisPayのパートナーは空港内にあるカフェやバー、日本でも人気のクリスピークリームドーナツやGongChaなどの飲食、アシックスなどのファッション、レゴなど、実に多岐に渡って決済利用ができます。具体的なパートナーは下記を参考にしてください。
<参考>KrisPay Partners
さいごに
以上、航空業界での事例を紹介しました。AIとの組み合わせやトレーサビリティ、決済の効率化など、ブロックチェーンの得意な領域で活用されているようです。世界中の航空業界でブロックチェーンの導入が加速しており、今後もその流れは加速していくでしょう。
引用元: CoinPost
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