Web3.0とは何か?ブロックチェーンがもたらす検証性と所有権のあり方|Staked Technologies
こんにちはステイクの渡辺創太です。ステイクという企業は、Web2の先にある分散型のウェブ(Web3)の構築を実現させるべくプロトコルの研究開発を行なうブロックチェーン企業です。
Web3.0という言葉は多くの方々にとってまだ馴染みの無い言葉かもしれません。本稿ではWeb3.0の1つの解釈を紹介させていただきたいと思います。
“Decentralization”は新たな分権社会創出の試み
ブロックチェーンに関わっている人たちにブロックチェーンの目指す世界観を1言で表わせと尋ねると、ほぼ100%の人々がDecentralizationと口にすると思います。しかし、このDecentralizationという言葉それ自体は非常にかっこうがいいものですが、これほど定義の定まっていない言葉はなかなかありません。
この”Decentralization“を巡っては積もる話がいくつかあります。まず、Decentralizationは日本語でなんと訳せばよいのか?です。
多くの記事や書籍では非中央集権化と訳されている場合を多く見受けますが、Deという接頭語は「〜ではない」という接頭語ではなく、「〜から離れる」という意味であるので分権というイメージのほうが適切かもしれません。
Appleのスローガンである“Think Different”のように、誰かを暗に否定する言葉は一種の爆発的な力を持ちます。非中央集権という言葉もそうです。しかし、ブロックチェーンのムーブメントはもはや止めることのできない世界的なうねりとなりつつあります。私達がもっと向き合わなければいけないのは、技術的な部分よりもむしろ既存の既得権益とのコンフリクトです。
Decentralizationというムーブメントを語る時に、中央集権と非中央集権の二項対立ではなく、新しい分権社会を作る一種の試みだと捉えたほうがいいのかもしれません。
イメージがつかめたところで次に大切なのは、Decentralizationというムーブメントの中で作られるDecentralizedされた社会とはいかなるものか?また、それはなぜ必要なのか?だと思います。
私達の話をするとステイクテクノロジーズという私達が創業した会社は、Web3 Foundationの開発するPolkadotというプロトコルに重きをおいていますが、ブロックチェーンそれ自体の会社ではなく、ブロックチェーンによって切り開かれる未来を創りに行く会社です。もっと具体的に言えば、Web3.0を実現しにいく会社です。このWeb3.0がDecentralizedされた社会の根底をなすと考えています。
Web3.0とは
私達は今大きなテクノロジーの進化の過程の中にいるといって良いと思います。インターネット、Web、Web2.0、モバイル、ブロックチェーン・AI、Web3.0。ブロックチェーンは独立したテクノロジーではなく、Webの進化にあたり欠かせないコンポネントとなるでしょう。そして、ブロックチェーンによってユーザー中心の新しいWebであるWeb3.0が実現する可能性が高いです。
Web3.0は一般的にDecentralized Webと呼ばれています。この動きは特に真新しいものではなく、Webの開発当時からその思想は包括されていたようです。Webの父であるTim Berners-LeeもMIT Technology Reviewで以下のように述べており、本来の目標とする姿を実現するためにSolidというプロジェクトをはじめました。
Decentralization and control are the central principles. Solid will let developers create decentralized apps that run on data fully owned by users. —Tim Berners-Lee
「DecentralizationとユーザーがデータをコントロールすることはWebの原則である。開発者はSolid(Timの始めた分散Webプロジェクト)を用いユーザーが完全に自身のデータを持つ分散アプリケーションを構築することができる」
Web3.0とは、末端にいるユーザーが自身のデータに所有権を持ち、コントロールできる。ユーザーが送っているデータ、受け取っているデータ、何を支払いその対価としてなにを受け取っているのか検証可能なWebです。
今のWebの本質的な問題点
Web3.0(Decentralized Web)の話がでると、よく議題にあがるのがGoogle, Apple, Facebook, AmazonいわゆるGAFAを始めとする大企業のデータの独占です。しかし、大企業がデータを独占しているのは本質的な問題ではないです。
むしろ問題なのはデータの所有者であるはずのユーザーが自らのデータの使用先と用途を検証する術を持たずデータの所有権すら持っていないということだと思います。
検証性という点では、先日、朝日新聞でリクナビが「学生の閲覧履歴をもとに内定を辞退する確率を予測し、本人に十分説明しないまま企業に売っていた。」という記事を見ました。この場合、情報を提供する学生は提供したデータがいかに使われているのかについて検証する能力、手段がありません。
これはFacebookのケンブリッジ・アナリティカの問題についても同じこと言えます。
就活生の皆さん。Web3.0が必要です。
Japanese big HR company leaks confidential information about job hunting activities without any notifications. We need WEB3.0 even for studentshttps://t.co/UWPE11GLfp
— Sota Watanabe (渡辺創太) (@WatanabeSota) August 2, 2019
データの所有権に関しても、私達がいかにデータの所有権がないかについて数々のニュースを見ることができます。その例の1つにソフトウェア開発プラットフォームのGitHubにてイランや北朝鮮、キューバ、シリア、クリミア半島などのユーザーの利用が制限されてしまった事例があります。
その理由はアメリカの貿易施策にあるようです。考えてみてください。昨日までGitHub上で作っていたソフトウェアプロダクトのソースコードが今日からなんの勧告もなくアクセスできなくなったら?少なくても弊社では仕事どころの騒ぎではなくなります。
以上にみたようにWebには上記のような問題が沢山あり、ブロックチェーンをバックボーンに添えたWeb3.0がこれらの問題の解決策になるかもしれません。言うは易く行うは難しですが、いずれにせよ、Web3.0を実現し、よりよい仕組みを後世に残すことは今を生きる私達の責任であり使命なので身を引き締めて頑張りたいと思います。
引用元: CoinPost
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