Binance独自チェーンローンチ:IEOブームでEthereum離れ加速となるか
DEX基盤となる独自チェーンのローンチでBNB相場は過去最高値周辺へ
マルタの取引所BinanceのネイティブトークンBNBが、対ドルで過去最高値周辺まで上昇している(第1図)。BinanceのBNBを巡っては、独自のチェーンとDEX(分散型取引所)のローンチ予定や、IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)プラットフォーム「Binance Launchpad」の始動など、年初より市場で期待感やBNB需要を作っていた。これにより、BNB相場は上昇一色となり、Q1の市場全体の上昇モメンタムを先導した。
【第1図:BNB対ドルチャート】
出所:coinmarketcapより作成
こうしたなか、Binanceは独自チェーンのメインネットの公開と、今月23日に現状のERC20 BNBのネイティブBNBへのスワップ(移行)を開始することを18日、発表した。
Binanceは以前より、中央集権型の暗号資産の取引はDEXに移行するというスタンスを示しており、今回ローンチされたBinance独自のチェーンは同社が手がけるDEXの基盤となる。Binance DEXでは、基本的にBNBが手数料として徴収される仕組みだが、他の暗号資産でも手数料の支払いは可能だ。しかし、Binance DEXにおいても、BNBを使用するユーザーは手数料が割引される仕組みとなることから、ユーザーにとってはBNBを保有するインセンティブがある。
昨日の急騰も本発表を受けた結果と整理できるが、これにより材料が出尽くした感もある。Binanceは来週、シンガポールで暗号資産と法定通貨間の取引所をローンチさせるが、現時点でわかっていることは、BTCとSGD間の売買ができるということだけで、BNB需要に繋がるかは不明だ。
Binance Launchpadは今月24日にも今年5回目のIEOを行う(Matic)。BinanceのIEOはBNBで資金調達が行われるのがほとんどだが、IEOブームのなか、BNB相場が過去最高値を更新するか否か注目だ。
Ethereum ICOの時代に変化:Launchpadを追う取引所IEOプラットフォーム続々
Binance Launchpadが火付け役となり、他の海外取引所も続々とIEOプラットフォームをローンチさせている。HuobiのHuobi Prime、KuCoinのSpotlight、OkexのOKJumpstart、Gate.ioのStartup等、直近2ヶ月程で取引所のネイティブトークンを駆使したIEOプラットフォームが続々と台頭してきている。
暗号資産を駆使した資金調達といえばEthereumブロックチェーンとそのネイティブトークンETHを駆使したICO(イニシャル・コイン・オファリング)が2017年末より爆発的な人気を博し、ERC20トークンがICOの主流となった。しかし、ICOで発行されたトークンは必ずしも取引所に上場される訳でもプロジェクトの貫徹が約束されている訳でもなく、スキャムや発行体が消息を断つケースなども見られた。一方のIEOは、こうした課題をある程度解決している。誰でもトークンを発行できるICOとは違い、発行体がIEOを行うには取引所による審査に合格する必要があり、投資家はある程度安心してIEOに参加できる。さらに、投資家は購入したトークンがどこかしらの取引所に上場されるのを待つ必要はない。
しかし、そんなIEOも完全無欠ではない。ほどんどのIEOは、その人気から、開始数秒で売り切れとなっており、投資家からは参加の仕組み改善を求める声が上がっている。また、先月末に行われたHuobi PrimeでのTOP NetworkのIEOでは、TOPトークンを求める投資家が殺到したせいかシステムにバグが確認されるなど、改善の余地がある。
とは言え、従来までのICOと比較して数秒でトークンが売り切れるというのは珍しく、ICO市場全体での月間調達額が昨年末から右肩下がりとなっていることも考慮するとIEOの人気ぶりが垣間見られる。このまま勢いでIEOが成長すれば、各国で規制環境が整うまではICO市場でEthereum離れが加速することが予想される。
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引用元: ビットコインニュース
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