暗号資産関連法改正案の閣議決定で上値を伸ばしたBTC:レンジ相場上方ブレイクはまだか
FATF相互審査を見据えた規制強化
本邦政府は15日、資金決済法と金融商品取引法の改正案を閣議決定し、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更するほか、コールドウォレットでの顧客預かり資産の管理や、ホットウォレットを利用する場合は預かり資産額に見合う弁済資源の確保を義務づけた。この他に、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)や暗号資産の金融派生商品については金融商品取引法で規制する方向だ。
本法案は、2020年6月までに施行される見通しだ。
今回の改正案の背景の一つには、2017年4月に施行された資金決済法が投資家の投機を助長する結果となったことに対する対処が含まれている模様だ。2017年での法改正により、日本では「仮想通貨」が法的に定義されたが、投資家はある意味でこれを「お墨付き」あるいは「GOサイン」と受け止めたことを金融庁は懸念しているようだ。
また、日本は今年、金融活動作業部会(FATF)による相互審査の対象となっていることから、金融庁は包括的かつ厳格な暗号資産市場の規制基準整備を急いでいると考えられる。
日本は前回の相互審査において、49項目中15項目で「Partially Compliant(PC)」、10項目で「Not Compliant(NC)」の判定を受けいる。また、この中でも、「Costomer Due Diligence」や「Unusual Transaction」といった基本的な項目においてそれぞれNCとPC判定が出ていることは、先進国かつ世界的に大規模な暗号資産市場を統括する日本政府および金融庁にとっては重責であり、改善に向けた急務が求められている。
市場は規制による健全化を好感か
2018年上半期の暗号資産市場は、国際的な規制動向の先行きの不透明性から規制関連報道が相場の重石となる場面もあったが、現在では「正しい規制は市場の健全化に繋がる」というのが市場参加者の間でのコンセンサスになっていると言えよう。
15日の閣議決定に対する市場の反応も、このコンセンサスを反映しているように見受けられる。
BTCの対ドル相場は、15日の報道直後に3850ドル周辺から上昇し始め、翌16日正午頃までは上値を追う展開となった。16日終値は4048.73ドルで引け、先月24日ぶりに4000ドル上抜けに成功した(第1図)。17日には急上昇による反動で上値を抑えられる展開となったが、相場は現在も4000ドル台を死守している(coinmarketcap調べ)。
様子見ムードが続いた後の上昇となったが、中長期的には、相場は依然レンジ相場内で推移している。また、日本時間16日に米商品先物取引委員会(CFTC)が発行したCOTレポート(Traders in Financial Futures)によると、ファンド勢のネットポジション は前回の-2131から-2449とショートが拡大、COTインデックスは30%を割り込み足元26.37%で推移しており、依然、弱気筋が優勢となっている(第2図)。
BTCオプション市場からは相場上昇への期待感が伺えることを指摘したが、22日行使分のオプションでは、行使価格4250ドルのコールに建玉が集中していることから、この先相場が続伸としても、短期的には同水準付近がレジスタンスとなるとなることが予想される。また、BTC対ドルの年初来高値(4210.64ドル)を考慮しても同様のことが指摘され、短期的な上昇が続いても上値余地は限定的と言えよう。
【第1図:BTC対ドル相場チャート】
出所:coinmarketcapより作成
【第2図:COTインデックス(Leveraged Funds)】
出所:CFTCより作成
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引用元: ビットコインニュース
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