よく投資家に誤解されがちな「仮想通貨XRPとリップル社」5つの疑問
- リップルやXRPに生じる様々な誤解
- 米Forbesは記事で、リップル社や仮想通貨XRPに関する様々な誤解を解説した。掲載された14の誤解の中で、投資家に誤解されがちな5つの疑問をピックアップして、内容を解説。
リップルに対する頻繁にみられる誤解
米リップル社及び仮想通貨XRPには、さまざま誤解が生じているとする記事を、米Forbesが掲載した。2K/DENMARKのクリエイティブディレクターThomas Silkjær氏による寄稿記事で、Ripple社とXRPに関する14の誤解が書かれている。
例えば、クロスボーダー決済のための2つのプロダクト「xCurrent」や「xRapid」の違いや、収益モデル、XRP保有のメリットなどが該当する。
本記事では、Forbesに掲載された誤解を、5つピックアップし、内容を解説しながら説明していく。
プロダクトに対する誤解
1. XRPは必要ない
リップルの送金に関連する主要なプロダクトとして、「xCurrent」と「xRapid」の二つのワードを見る機会は多い。 (他にもあるが、今回は二つに絞る)
それらのリップル社の決済ソリューションとして、最も採用率が高いのが「xCurrent」だ。
xCurrentは、ネットワーク参加者にメッセージングと、透明で安定のある取引を提供するグローバルなリアルタイム決済システムで、処理速度は、SWIFTが提供する既存の送金ネットワークと比較しても、飛び抜けた速さである事が特徴の一つだ。
xCurrentの機能性から度々指摘されることは、それだけで「十分」である、ということだ。XRPを利用しなくても、xCurrentを使用することは可能であり、ブロックチェーンの決済ソリューションを利用するなら、xCurrentでいいのではないか?という考え方である。
そこで挙げられる疑問として、「XRPがなぜそ必要なのか」というものがあるが、その答えとしては、XRPを利用した方が、フィアット(法定通貨)と比較して低コストかつ迅速な決済が可能であるという点が挙げれる。
2つの銀行が、ノストロ(銀行間取引での決済を行う当方の決済口座)/ボストロ(先方の決済口座)間での決済を行なった場合、xCurrentを利用することにより数秒間で両者の口座残高の変更(送金)が可能であり、インターレジャープロトコル(ILP)によってリアルタイムの為替レートでの取引が可能となる。
インターレジャープロトコルとは、銀行やビットコイン等の異なる台帳間を繋ぎ、簡単に送金をするようにするための規格を指す言葉だ。
リップル社によると、多くの組織にとってノストロ口座を保持することは非持続的かつ高いコストを伴うものであるという。要するに中継銀行などにもお金をプールしておかないといけないなど、動かせない資金(無駄なコスト)が生じてしまうデメリットがある。
それについては、同社は以下のように述べている。
マッキンゼーの2016年度グローバル決済報告書によると、世界全体のノストロ口座には、およそ5兆ドル(約550兆円)が眠っている。そのように縛られた資本は活用されるべきものだ。
口座の保持のコストと複雑性は、一握りの銀行のみによってグローバル決済が可能とされる事象の原因の1つである。世界中でのノストロ口座保有の負担は、組織にとって単純に非持続的だ。小・中規模の銀行や決済プロバイダーは、さらに大きな同業者の国際取引システムに手数料を払っている。
xRapidは、それらの口座の必要性を排除するために作られたものである。xRapidは流動性をマーケットから調達する。一方ではフィアットでXRPを購入し、もう一方ではXRPを売却し、フィアットに替えるといった形だ。
預貯金などの運用が重要な銀行にとって、ノストロ口座の資金が動かせる状況になるだけで、ビジネスが大幅に向上する事を示している。
その技術は、以下のような新たな機会の提供が期待されるという。
- さらなる決済コストの軽減、最小限の手数料での少額国際決済が可能に。
- 新たなビジネスのマーケットの開拓、ノストロ/ボストロ口座必要性の排除と確立された企業との一からの競合。
2. XRPは価格変動が激しい、よって銀行は保有しない
XRPは、他の仮想通貨と同様に価格変動が大きいが、銀行にとって、それはフィアットもそれは同じであるということ。
その理由として、ノストロ/ボストロの関係性の中では、銀行の為替交換レートじゃ、長年の間置かれ続けていることで、いくつかの通貨は、大きく変動リスクを受ける点だ。
xRapidは、XRPを保有することによって機能するものではないため、銀行はXRPを持つ必要はないが、数分という短期間でのXRPの購入と売却が可能だ。そうすることにより、実質の価格変動のリスクは極力抑えての決済が可能となり、大きな変動リスクを追うことはない。
また、銀行が唯一XRPを保有する理由として考えられるのは、XRPとフィアットを交換する取引所サービスのようなものがある。これは銀行における投資機関に分類される。
3. リップル社はXRPを追加発行できる
XRP台帳が最初に公開された2013年1月から、4500万以上の台帳が連携、その台帳とともに1000億枚のXRPが誕生した。その枚数はソフトウェアに強固に記録(コード)されている。
現在、XRP枚数を変更する機能をコードに追加する手段はなく、枚数を変更するとしたらコード自体の主要な変更が必要となる。そうなった場合、リップルの承認者といったネットワーク参加者も新たなコードの採用を行う必要が生じる。
コードに変更が加わる場合には、ネットワーク参加者の合意が不可欠であり、XRP台帳は、他のブロックチェーンと同様に非中央集権的な性質で、その変更を採択する必要があり、リップル社が自ら変更する権限を有する訳ではない。
ビジネスモデルに対する誤解
1. リップル社がXRPの市場価格を操作している
リップル社がXRPの多く(約60%)を保有しているため、それが同社の収益モデルの一部となりえる。
大量に保有しているのは確かだが、そのほとんどへのアクセス権限を同社はもっていない。それらはエスクロー口座にロックアップされており、月に10億枚づつリリースされる仕組みが取られている。
2017年5月には550億枚のXRPのエスクロー口座への移動が宣言され、同年12月にその移動が完了した。その行動は、自由に大量の資金が動かせることを懸念した投資家や、マーケットへの影響を考慮してとられたものである。
もし価格操作があるとするなら、同社の利益となる通貨の価格上昇を引き起こす手段が考えられるため、その通貨をマーケットから買い上げる「パンプ」行為を起こす必要がある。ただし、その点を考慮するとリップル社による価格操作について、以下のような課題がある。
- リップル社は、XRP売却で得たフィアットを購入に費やす必要がある。
- パンプから利益を得るために、パンプを起こした同じマーケットでXRPを売却する必要がある。
XRP価格の停滞や、エスクロー資金へのアクセスの制限を考慮すると、XRP価格は、マーケットの思索や企業によるプロダクトの採用等、通常のファンダメンタルズ要因によって変動しているといえるだろうと結論づけた。
2. リップル社の収益モデルはXRPである
もしリップル社の収益モデルが、XRPのパンプ&ダンプといった価格操作である場合、上の1で述べた課題を消化する必要があるが、それは、同社が提供しているプロダクトの状況からも非常に困難である。
そこで、収益モデルとして考えられるのが、サブスクリプションベースでのソフトウェアの提供だ。リップルのネットワークの参加者が増えることによって継続的な収入が見込め、実際にxCurrent製品の販売も順調に推移している。
2018年5月には「Xpring」を立ち上げた。
Xpringプロジェクトは、XRPレジャーやXRPを使用し、実績のある起業家によって率いられている企業やプロジェクトに対し、出資、発展支援、買収、補助金を提供することで、XRPやXRPレジャーのさらなる普及を目指すものである。
そのような形で、同社はXRPエコシステムの強化に務めており、その結果として配当や利用料等での収益を生み出すことが期待される。
Forbesの全文はこちらから。
スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者13,000名突破。
CoinPostのLINE@、おかげさまで順調に登録者増加中!
・各国の規制ニュースや取引所関連速報
・BTCやアルトコインの高騰・暴落情報
・相場に影響し得る注目カンファレンスなど、国内外の「重要ファンダ」をいち早く入手したい方は是非ご活用ください。QRコードでも登録可。 pic.twitter.com/7IUwECtvC0
— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2018年10月12日
引用元: CoinPost
「仮想通貨全般」カテゴリーの関連記事