警察庁公表:仮想通貨取引所の「マネロン疑惑」が約6000件に上ることが判明、実際の事例を公開
- 仮想通貨取引所の「マネロン疑惑件数」を公表
- 警察庁は、国内仮想通貨取引所がマネロン疑惑があるとして届け出た取引が、2018年1~10月に約6000件に急増していたことを公表、疑惑取引の届出例や架空名義など不正が疑われる事例を公開した。
仮想通貨取引所の「マネロン疑惑件数」を公表
日経新聞の報道によると、仮想通貨取引所がマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いがあるとして届け出た取引が、2018年1~10月に計5944件に上っていたことがわかった。
提出が義務付けられた17年の4月〜12月にかけて669件だったことからも、マネロン疑惑の件数が大幅増加していることが伺える。
仮想通貨のマネーロンダリング(資金洗浄)問題に関しては、金融庁による認可済み仮想通貨交換業者への「業務改善命令」でも、現状だと不十分だとして厳しく指摘されているほか、12月初頭に開催された「G20会議」でも題目として取り上げられ、資金洗浄と租税回避を目的とした仮想通貨の利用を取り締まる国際案の確立を2020年までに目指す事が発表されている。
警察庁は同日、資金洗浄などの状況をまとめた「犯罪収益移転危険度調査書」を公表した。
警察庁は、仮想通貨に対して専門のモニタリングチームを設置した上で、仮想通貨交換業者に対する登録審査や立入検査等の推進、貴金属の取扱事業者に対して法令上の義務の不履行や理解不足に対する行政指導の徹底等の措置が図られている。
記載された文章によると、28年調査書では、危険性の認められる商品・サービスに「仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨」を追加。
としている。
不正送信事案
警察庁は、「2017年中の仮想通貨交換業者等への不正アクセスによる不正送信事案として149件、約6億6,240万円相当の被害を認知。2018年年1月及び9月には国内の仮想通貨交換業者から多額の仮想通貨が不正に送信されたとみられる事案も発生している。」と指摘。
このような事案の背景として、仮想通貨を取り扱う事業者において、事業規模が急激に拡大する中、マネー・ローンダリング等の各種リスクに応じた適切な内部管理体制の整備が追いついていなかったことなどが要因となっていると強調した。
警察庁は、資料の中で以下のように記載、懸念を示している。
ビットコイン等の多くの仮想通貨は、取引履歴がブロックチェーン上で公開され、取引追跡が可能であるという特徴がある。
しかしながら、取引に利用されるウォレットが、本人確認等の措置が義務化されていない国・地域の仮想通貨交換業者や、個人の取得・管理に係るものである場合、取引により移転した仮想通貨の所有者を特定することは困難となる。
また、仮想通貨交換業者の取引は、その大半がインターネットを利用した非対面で行われていることから、対面取引と比べて匿名性が高い。さらに、仮想通貨の種類によっては、移転元と移転先とのつながりを不明瞭にする匿名化技術等を実装することで匿名性を高めたものもある。
取引の中でこうした匿名性を高めた仮想通貨との交換が行われることで、その後の取引等の追跡は困難となる。
疑わしい取引の届出
また警察庁は、平成29年4月から12月の間の仮想通貨交換業者による疑わしい取引の届出内容について、「顧客の情報に着目したもののほか、架空名義や借名での取引が疑われるものなどが多く認められる」とし、具体例として以下の内容を挙げた。
○ 異なる氏名・生年月日の複数の利用者が使用した、本人確認書類に添付されている顔写真が同一
○ 同じIPアドレスから複数の口座開設・利用者登録がされている
○ 利用者の居住国が日本にもかかわらずログインされたのが日本国外である
○ 同一携帯番号が複数のアカウント・利用者連絡先として登録されていたが、使用されていない電話番号であるなどがある
不正が疑われる事例
不正が疑われる事例については、以下のようなものがあるとした。
○ 不正に取得した他人名義のアカウント及びクレジットカード情報等を利用して仮想通貨を購入後、海外の交換サイトを経由するなどして日本円に換金し、その代金を他人名義の口座に振り込んでいた
○ 来日外国人が開設した仮想通貨口座のID、パスワードを第三者に有償で提供した
○ 他人名義の本人確認書類を使用して仮想通貨交換業者に口座を開設した
○ 違法薬物の取引や児童ポルノのダウンロードに必要な専用のポイントの支払いに仮想通貨が用いられていた
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— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2018年10月12日
引用元: CoinPost
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