コインチェック事件の時期から「仮想通貨盗難被害額」が右肩上がりに|セキュリティ企業調査書
- 仮想通貨のマネーロンダリング状況が明白に
- 仮想通貨業界を惑わす課題の一つとされる仮想通貨を利用したマネーロンダリングの調査結果をブロックチェーン企業CipherTrace社が発表。ハッキングなどによる被害額など各国の規制状況を要約している。
ブロックチェーンセキュリティ企業の調査書
犯罪で使用されているビットコインの大半は、マネーロンダリング対策(AML)が緩慢な国に拠点を置いている仮想通貨取引所を通じて換金される事が、ブロックチェーンセキュリティ会社のCipherTrace社の調査で判明した。
同社が公開した報告書ではAML規制が整備されている取引所と比較すると約39倍以上の割合が違法行為に絡んだ取引であると犯罪者の傾向が掲載されている。
また研究の結果、規制は仮想通貨の違法利用を減少させると示している。
AML規制には以下の項目が含まれ、これらの規制と監視が徹底されていない場合、緩慢だと見なされる。
なお、これらの項目はアメリカ国務省の資料を元に設定された。
- 違法薬物取り扱いを規制
- 違法薬物以外の犯罪行為関連のマネーロンダリング規制
- KYC制度の実施
- 巨大取引の報告
- 不審な取引の報告
- 過去の記録を維持すること
2018年第3四半期に、CipherTrace社が発表した仮想通貨マネーロンダリング・レポートによると、犯罪に使用されたBTCの97%は、市場に再流入する前に、資金を移動し洗浄されてから、規制体制が無い、または緩慢な仮想通貨取引所に移動する事が明らかになった。
また調査の結果、AMLやKYCの規制は仮想通貨の犯罪を防ぐのに有益である事が明らかになった。
払拭しきれない犯罪のイメージ
仮想通貨の規制と犯罪は大きな課題と言える。
仮想通貨の正当性や合法性はMt.Goxやシルクロードが有名であった頃から常に言われ続けている。
しかし残念ながら、仮想通貨の犯罪は市場が爆発した2017年以降も絶えないどころか、むしろ2018年に入ってから増加している。
1月のコインチェック事件の時期に当たる1月を皮切りに、2018年の第3四半期の時点ですでに昨年の3倍以上の被害額に達している。
昨年と一昨年の被害総額と比較するとその差は歴然としている。
これらの取引所は、ビットコイン取引が開始された直後の2009年1月9日から2018年9月20日までの間で、総額380,185 BTC(約2658億円)を洗浄したと同社は公表。
このビットコイン枚数は、規制されていない取引所を通じて移動された総枚数の4.7%に相当する。
2018年の代表的なハッキング事件
Bithumbが33億円相当のハッキング
本日買収が発表されたBithumbは6月に33億円相当の仮想通貨ハッキングに遭った。
Bithumbによると攻撃は「オンラインウォレットへの不正アクセス」によるもので、盗難が発覚した直後にオンラインウォレットからコールドウォレットに即座に移動したとのこと。
Bitcoin Goldの51%攻撃
ハッカー集団が以前は不可能と思われていた51%攻撃を実現し、ネットワークの過半数を占領したもの。
ブロックチェーンの過半数をコントロールできた為、正当なトランザクションが処理されないだけではなく、処理が完了した取引の無効化や仮想通貨の二重支払いが可能になる異常事態となった。
仮想通貨取引所Zaifの仮想通貨70億円相当が流出
日本の仮想通貨投資家にとっては記憶に新しい事件だろう。
9月20日に発覚した仮想通貨取引所Zaifのハッキングではビットコイン、ビットコインキャッシュとMONAコイン、計70億円相当が盗難された。
事件の詳細はこちらから。
世界各国の仮想通貨を利用した犯罪防止対策
7月には、欧州委員会の第5回マネーロンダリング対策(AML)が実施され、G20加盟国は厳しいAML規制を厳守する注意がされた。
世界各国の政府はグローバルで分散化された仮想通貨の規制に手を焼いており、各国の規制方針はそれぞれ自国で現状ベストを模索せざるを得ない状況を迫られている。
仮想通貨の規制方針が定められている、又は注目されている各国の現在の規制方針を簡単にまとめた。
マルタ
「ブロックチェーン・アイランド」として大手仮想通貨取引所バイナンスなど、様々な仮想通貨企業から注目を集めるヨーロッパに位置するマルタ島。
同国は積極的に仮想通貨やブロックチェーン技術の革新を迎え入れており、同国金融庁は仮想通貨取引所やICOに対する規制の枠組みを作成済み、11月1日から実施される予定だ。
韓国
韓国では上述したBithumbなど、仮想通貨取引所のハッキングが相次いだ。
他にも資金洗浄、キムチプレミアムと称される価格の違いや取引の閉鎖を受け、韓国政府は仮想通貨に対する規制の枠組み設置を余儀なくされている。
また先日CoinPostで報道した通り、韓国政府は来月にICOが合法であるかの可否判断を発表する方針を報道した。
日本と並び、仮想通貨取引量が多い韓国においてどのような規制が下されるかは重要となりそうだ。
カナダ
カナダ金融庁は資金洗浄とCTF(テロ資金供与)に関する規制更新を発表し、仮想通貨取引所のマネーサービス事業としての登録や7700ドル以上の取引の申請を必須化するものが今秋から実施されるはずだった。
しかし8月後半にカナダ政府は一転して、厳しいAML/CTF規制は2019年後半に実施を延期する事を発表した。
メキシコ
メキシコは仮想通貨企業は事業内容の開示や顧客確認、など資金洗浄と過激派資金供与を供与を防止する目的の仮想通貨に対する規制を設けている。
先月9日にはメキシコの中銀が金融機関が仮想通貨を利用する際、その都度メキシコ銀行から許可を得なければならないと発表している。
引用元: CoinPost
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