今年の仮想通貨盗難被害は約10億ドル、調査機関が公表
仮想通貨を使ったマネロンを防ぐためのシステムを開発するCipherTraceは、今年の仮想通貨の盗難被害が約10億ドルに上るとの試算を公表した。昨年の被害額と比べて約4倍にまで拡大している。
昨年の盗難被害額は約2.6億ドルであったと報告されている。被害額が拡大している背景には、仮想通貨に注目が集まると同時に価格自体も高騰していることが関係している。
今年の第三四半期までの被害額は約9.2億ドルとなっているが、現在も月日を追う毎に被害額は増加している。このなかで日本の取引所コインチェックの被害額が約5.3億ドルと半分以上を占めている。
CipherTraceによれば、ハッカーなどの犯罪者はAML規制が比較的緩い国にある取引所を主に利用している。AML対策としてKYC(本人確認)を実施している取引所とそうでない取引所では、犯罪者の利用率が大きく異なる。
2009年1月から2018年9月までの間に犯罪者がKYCを行っていない取引所へ送金したビットコインの数は38万BTCで、これはKYCを行っている取引所へ送られたビットコインの約36倍だ。
また、CipherTraceによると、KYCを行っていない取引所に送金されるビットコインの約4.7%が犯罪者から送られたものであるという。現在までに約25億ドル相当のマネロンが取引所を介して行われたようだ。この数字は実際に確認できた情報を元に試算されたものであり、CipherTraceは少なくともさらに12億ドルのマネロンが行われていると見積もる。
違法な取引に使われたビットコインの95%は規制されていない取引所から送金されている。送金先は主に、犯罪者が管理するウォレットであったり、ダークマーケットやミキシングサービスといったプラットフォームだ。
仮想通貨を狙った犯罪は被害額の増加とともにその手法も多様化している。取引所のシステムをハッキングするといった他に、フィッシングサイトを使ったり、SIMスワップと呼ばれる携帯番号を盗み個人のオンラインアカウントを乗っ取るなどの手法がある。
また今年は、BancorやGethのスマートコントラクトやウォレットのコードの脆弱性を突くハッキングなども起きている。ビットコインゴールドやモナーコインといったハッシュレートが低いコインに51%アタックを仕掛けるネットワーク攻撃もあった。
CipherTraceのDave Jevans最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨を使ったマネロンについて以下のように語っている。
「簡素な規制ルールの国には仮想通貨取引所が集まりやすい。またそれを利用し取引所を誘致し、経済を発展させようとする国もある。しかし今後は、世界の共通ルールとしてAML対策が施行されることが予想される。そのため仮想通貨を使ったマネロンは減少するだろう」
引用元: ビットコインニュース
「ビットコイン」カテゴリーの関連記事