カナダ中銀、ブロックチェーンのインセティブ構造の優位性を示すリサーチを公表
カナダ中銀のJonathan Chiu氏とThorsten V. Koeppl氏は、ブロックチェーンに関するリサーチを行っている。両研究者は、ブロックチェーンは、第三者機関を介さず取引を行うためのインセンティブ構造が上手くデザインされた技術だとした。特筆すべき点は、非中央集権のネットワーク上でダブルスペンディング(二重支払い)問題を解決したことだ。
第三者機関を介さずブロックチェーン上の取引データをセキュアに保つには、3つの要素が鍵となる。コンセンサス・プロトコル、ブロックの承認確認、報酬スキームの3つだ。
コンセンサス・プロトコルは、非中央集権のネットワークの参加者がどのような形で取引データのアップデートを行うかを前もって決めるものだ。ビットコインにはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)が採用されており、マイナーが計算処理を行った後、取引データが新たにブロックチェーンに追加される。計算処理には電力消費などのコストが要求される。また、最長のチェーンはマイナーが最も計算処理を行った証拠であることから正しいブロックチェーンであるとされる。
ブロックの承認確認は二重支払いを防ぐ上で重要な役割を持つ。不正を働こうとするマイナーは、コインを使い商品を購入するが、商品を受け取った時点で隠し持っていた最長のチェーンをネットワークに送信する。これにより取引履歴は書き換えられコインの使用をキャンセルすることができる。ビットコインでは、取引がブロックチェーンに追加されてから、さらに5つのブロックが追加されれば安全であるとされている。商品の売り手は、ブロックの承認確認を利用して取引を確定させることができる。承認確認を行うブロックの数をさらに増やすことで安全性をより高めることもできる。
最後の報酬スキームではPoWが計算処理を行うマイナーに対し、正しい行動を促すようなインセンティブを与えている。計算処理に成功したマイナーはブロックを生成し報酬として新規発行のコインを受け取る。マイニングは誰でも行うことができることから、計算処理には競争が発生する。多くの報酬を受け取りたいマイナーは、より多くのコストをかけネットワークの安全性に貢献しなければならないため、不正を働くインセンティブは減少する。
Chiu氏とKoeppl氏は、マイニングの誰でも参加できるという匿名性と成功報酬が、ネットワークを安全に保つためのインセンティブを作り出していると分析。さらに「51%アタック」や「二重支払い」は多大なコストが要求されることから起こる可能性は非常に低いと結論づけた。
今回のリサーチでは主にPoWについて両研究者だが、他のコンセンサス・プロトコルであるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)やデリゲート・プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)に関しても言及している。PoSに関しては、取引処理にPoWのような電力消費といったコストが発生しないため、51%アタックや二重支払いを行うインセンティブは比較的高いと述べられている。DPoSは、取引処理を行うユーザー同士が協力し合うことが容易であるため、データ処理が中央集権的に管理される可能性が高いと、両研究者は報告している。
引用元: ビットコインニュース
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