仮想通貨市場”復活”のためには不安要素の払拭が先決か|昨年末からの下落率から考察
- 市場の健全化の必要性
- 昨年末のビットコイン最高値更新時(年末)から現在の価格の変動率で掲載。 市場に動きがあった証券問題など、直近の値動きから考察する市場が求めている改善策とは?
昨年末からの仮想通貨推移
ビットコインが昨年末に過去最高額を更新し、多くのアルトコインにも波及する形で過去最高値をつけました。
今年に入って相場の流れは一変し、ビットコインは2月6日、4月2日、直近では6月12日に70万円のラインを割っています。
市場全体の時価総額も今年1月7日に過去最高額となった8300億USD(約91兆円)を境に、ビットコインが70万円を切った4月2日に2440億USD(約27兆円)を記録、年初から約70%の減少となりました。
現在では多少回復したものの、2780億USD(約30.7兆円)と年初から比較すると未だ低い水準を維持しています。
昨年末12月31日から計算した仮想通貨別の変動率は以下の通りです。
時価総額25位まででプラス域を推移しているのは3通貨のみで、今月メインネット移行で話題となったEOS、TRONが共にプラス域に、最近トレンドとなっている取引所トークンを波を主導する世界大手取引所バイナンスが有するBinance Coinが100%を超えています。
これらの通貨の中でも、年末から下落率が低い水準で収まった通貨は、EthereumとSteller、Bytecoinとなり、約30%のマイナスとなりました。
また興味深い点として、下落率が大きく現在では時価総額25位からランクアウトした通貨に、に、昨年Binance銘柄で最高高騰倍率約12900倍(1XVG=0.0023円〜最高値29.67円)を記録したVergeが、51%攻撃などの報道も重なり2017年年末から85%の下落率となり、17位から37位に。
また自社の仮想通貨取引所「BitConnect」の閉鎖と貸付業務の停止を発表したビットコネクトが、取引所トークンとしての価値が失われたことで暴落し、99.87%の下落率となり、18位から983位となっています。
現在必要とされているものとは
直近で仮想通貨市場にプラスの動きが確認されたのは、SECによるイーサリアム証券問題の進展でしょう。
証券問題
6月15日にサンフランシスコで行われた”All Market Summit: Crypto” にて、米国証券取引委員会(SEC)、企業財務部門部長のWilliam Hinman氏は、同委員会はビットコインとイーサリアムを有価証券としては分類しないと発言に市場が反応した形になります。
その後上昇相場は継続しなかったものの、この発言による影響は大きいと言えます。
理由として、現在SECが主導で進めている仮想通貨の有価証券該当の問題ですが、コミュニティ自体が分散されているイーサリアムが仮に許可されなかった場合、かなり多くの通貨が証券に該当することを意味し、米国での取引も一時制限される可能性がありました。
該当通貨はどの通貨?
Hinman氏は、有価証券該当の基準として、仮想通貨やICOが証券であるかどうかを判断する上での第一の関心事は、第三者が投資による収益を見込んでいるかどうかとしています。
この発言を受け、仮想通貨ヘッジファンドMulticoin Capitalのマネージングパートナー カイル・サマニ氏は、時価総額上位に位置する通貨の半数が有価証券に該当すると発言しています。
あくまでも彼自身の意見ですが、現状から推測すると、XRP、TRON、Stellar、ADA、IOTAが有価証券に該当する可能性があるのではないかと考えている様です。
市場の不安要素の払拭が重要か
年初から継続した下落相場であるものの、年初と現在では状況が多少異なるように感じます。
年初あたりでは、昨年の仮想通貨暴騰相場からの反落も市場を後押ししたと考えられるものの、最近の仮想通貨市場の上値の重さは、市場の不安要素やFUDが溜まり、投資家心理にも影響している可能性があります。
現在市場の不安要素と考えられることは、有価証券問題の不透明性だけでなく、規制の先行き、価格操作の疑惑、サイバーセキュリティの問題でしょう。
証券の問題で市場が動き、大手参入の動きで影響が見られないことから、ファンダメンタルズ要因では、現状不安要素の払拭が最優先で求められている要因であると考えられます。
また取引量の増加も急務であり、流動性の欠如が問題視されている今、価格操作の問題を解決する意味でも、市場規模の拡大だけでなく取引量の増加が求められているでしょう。
結果として、投資者の増加や回帰には市場の不安要素を少しずつ取り除き、市場健全化の動きがもっとも市場を盛り上げるための最善策かもしれません。
仮想通貨の議論が先延ばしされ、本格的な議論や提案が行われることが予想される、次回7月のG20も近づいており、短期的にはマイナス要因となりえるものの、長期的な市場健全化への動きとして、規制の動きが一番必要なものである可能性もあるでしょう。
引用元: CoinPost
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